誕生日の約束

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――そう、 初めから分かっていた。 この恋にはブレーキが必要なことくらい……。 いくらお互い強く想い合っていても、「好き」な気持ちだけで自由に突き進むことができない。 時には、心に溢れる「好き」の気持ちに、ブレーキをかけなければいけないってことくらい……。 それでも、 分かってはいても――、 会いたいから会うとか、 手を繋いで一緒に帰るとか、 そういう、他のみんなが好きな人と何のためらいもなくしている色々を、 先生と私の場合、一度立ち止まって、「恋人同士」と「教師と生徒」という2つのものさしで測ってみなければいけない。 そして今、先生と私は、 キスのその先に進みたくて、けれども簡単には踏み出せなくて――、 立ち止まったままだ。 そのことが、 切なくて、歯痒くて、 ――そして苦しいくらいに、もどかしい。
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