誕生日の約束

35/114
前へ
/388ページ
次へ
「仕方ないんじゃない?先生が、色々考えたり我慢しなきゃいけないのは。」 そう言って、お姉ちゃんはシュークリームを包んでいた紙を、お皿の上で小さく折り畳んだ。 「だって、誰が考えても分かることでしょ。 先生が生徒と付き合ったら、色々制限されたり、乗り越えなきゃいけない壁が沢山あることくらい。」 「そうだけど、でもっ……」 「そういうの全部分かってて、それでも――、滝沢先生は美和子ちゃんじゃなきゃダメだったんだから。」 「っ……それはっ、」 「ふふ、美和子ちゃん、真っ赤。かわいー。」 一気に赤くなった私を面白そうに眺めてから、お姉ちゃんは少し声を潜めて言った。 「……でも、もしも、 もしも美和子ちゃんが先生と、もっと先に進みたいと思ってるなら……、 美和子ちゃんから先生に意思表示してあげるべきだと思う。」 「わ、私…から?」 「うん。言葉だけじゃなくて、行動でもね。」 「行動って……」 「んー…そうね、例えば……、 お泊まりするとか?」 「……と、泊まっ……」
/388ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5282人が本棚に入れています
本棚に追加