誕生日の約束

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……今まで考えたことなかった、先生の家にお泊まりするなんて……。 泊まりたいって言ったら……先生、何て言うかな……。 迷ってる様子の私に、お姉ちゃんは更に追い討ちをかけるように言葉を重ねていく。 「お泊まりするとね、更に相手が特別な存在に思えてくるの。」 「うん……」 「寝てる時って一番無防備な状態でしょ?それをお互いに見せ合った事によって、また一歩距離が縮まって近い存在になるっていうか……」 「うん……」 「それに、目覚めた時に好きな人が隣りに居るのっていいよ。ちょっぴり照れちゃうけど、幸せだな、て感じる瞬間だと思う。」 「……目覚めた時に……隣りに……」 ……そっか。 お泊まりすればいつもみたいに帰る時間を気にしないで、先生と朝までずっと一緒に居られるんだ……。 先生と朝までずっと一緒に……。 朝まで……。 ぽわん、と一緒の布団に入っている先生と自分の絵が脳内に浮かんでくる。 先生は私に腕枕をしてくれていて……。 「美和子ちゃん、顔。」 「へ……」 「何、考えてたの?トローンてしてるよ。」 「あ…ははっ……」 ……わ、私、 やらしー。何、想像して……。 ぶんぶんと頭を振って妄想を振り飛ばす私を、お姉ちゃんは不思議そうに眺めていた。
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