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ドリンクホルダーに手を伸ばして、ペットボトルを取りながら、運転する横顔をチラッと見る。
少し遠くを見つめる、きりっとした横顔に見とれていると、
「そんなに、喉渇いてるの?」
真っ直ぐ前を向いたまま、滝沢先生に声をかけられた。
「いえ…あ、はい。」
慌てて、コクと一口飲んでから、ペットボトルをドリンクホルダーへ戻す。
先生の運転してる顔が見たくて、ペットボトルを取るのを口実に、何度もチラ見していたけれど、
さすがに車に乗って10分くらいしか経ってないのに、5回も飲んだのは、不自然だったらしい…。
3月も、もうあと数日で終わる春休みの今日。
早朝に待ち合わせて、先生と私はお花見に出かけている。
「遅くなったけど、ホワイトデーのお返しも兼ねて。佐伯を連れて行きたい所があるんだ。」
そう言って、先生は私を誘ってくれた。
先生の車に乗せてもらった事は何度かあるけれど、お休みの日に早朝から、しかも2人でどこかへ出かけるのは初めてで。
私は、すごくすごく、楽しみで仕方なかった。
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