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数日後、空は朝からどんよりと曇っていた。
天気予報では曇りのち雨。
外で練習できなくなるテニス部のみんなには悪いけれど、先生と一緒に帰れると思うと、どうしても雨が降ることを期待してしまう。
けれども期待と裏腹に、その日は部活の始まる時間になっても、雨は降ってこなかった。
…今日は、先生と帰れそうにないな…。
テニスコートの隅っこに立って、ぼんやりと空を眺めていると、さりげなく滝沢先生が私の横に立った。
「お疲れ。」
「お疲れ様です。」
2人並んで、灰色の空を眺める。
「降りそうで、降らないな。」
「…ですね。」
「今日の降水確率、何%だっけ?」
「確か午後からは50%だったと思います。」
「予報で50%の時って、確率半分と言いつつ、たいてい降るよな。」
「そうですね。」
「何で、降らないんだよ。」
「……」
そんなこと……私だって、思ってるけど……。
その時、香山先生が滝沢先生にペコッと頭を下げて、近づいてきた。
滝沢先生と私が、空を見上げていたのを見ていたらしく、
「天気、気になります?」
と、声をかけてくる。
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