雨の日の秘密

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************* その日の夜、私は電話で滝沢先生を問い詰めた。 「どうして香山先生に、あんな事言ったんですか?」 「ああ、あれはさ…香山先生、この間の雨の日以来、俺と佐伯に何かあるんじゃないか、て疑ってるみたいだったから。敢えてああいう風に言ったんだよ。」 「?」 「あのな、こういう時は下手に否定したり誤魔化したりするより、仲がいいこと認めちゃった方が、変に勘ぐられないもんなんだよ。」 「…そうなんですか?」 「現に、香山先生はもう、俺と佐伯の事疑ってないだろ?」 「それは…結果論ではそうですけど…」 「口裏合わせて誤魔化す、ていう手もあるけど…佐伯、思ってることがすぐ顔に出るし、そういうの苦手だろ。」 「う…」 「…それに、できればお前に嘘吐かせたくないし…」 「……」 「だから、今日の開き直り作戦がベストなの。分かった?」 「…分かりました。」 「けど、参ったよ。」 「え…」 「実は、香山先生の親と教頭先生が、知り合いらしくてさ。」 「…えっ?だったらやっぱり付き合ってるなんて言ったら、まずかったんじゃ…」 「いや、それは大丈夫。佐伯が行った後も少し話してたけど、香山先生、全く信じてなかったから。」 *
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