雨の日の秘密

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…よかった…私、あの時動揺してたけど、香山先生に気づかれなかったんだ…。 私は、ほっと胸を撫で下ろした。 「その事はいいんだけど…今日の帰り教頭先生に、今度食事に行かないかって誘われてさ…」 「教頭先生が?」 「ん。」 滝沢先生は、少し嫌そうな声を出す。 「先生、教頭先生のこと苦手でしたっけ?」 「いや、そんな事ないよ。」 「でも、何か嫌そうですよね。あ…そっか。やっぱり教頭先生とお食事とかって、気を使いますよね。」 「それも確かにあるけど、それだけじゃないんだ。」 「え?」 「教頭先生、俺だけじゃなくて、香山先生と香山先生の父親にも声をかけてるらしくて…」 「……え…香山先生、も……」 「うん。」 「……」 ……それってもしかして…滝沢先生のこと、香山先生のお父さんに紹介するってことじゃ……。 何かまるで、お見合いみたい……。 ぎゅっ、と胸を掴まれたような痛みが走り、私は黙り込んでしまった。 *
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