雨の日の秘密

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受話器越しに、はあー、という先生のため息が漏れてくる。 「…ま、とにかくもう、この話は終わり。」 「……」 どこか素っ気ない先生の言い方に、ズキ、と胸の奥に痛みが走る。 ――呆れちゃった、のかな…。 食事に行く話だって、先生はこうやってちゃんと私に話してくれてる、ていうのに、 香山先生に嫉妬したりして…。 …先生のこと、怒らせちゃった…。 軽く自己嫌悪に陥りながら、私はしょんぼりして謝った。 「…ごめんなさい…もう、困らせるような事、言いません…」 「え…」 「だから…怒らないで、先生。」 「は?」 「ね、」 「……」 「…せんせ…私…」 うるうると瞳を潤わせながら、必死で訴える私の声に、 「え…ちょっと待って、佐伯…」 先生が突然、焦ったような声を出す。 *
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