雨の日の秘密

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「お前、さっきから何か誤解してないか?」 「…え…」 「俺、何も怒ってないよ。」 「…ほんと?」 「ああ。何で、そんな風に思ったんだよ。」 「…それは、だって…先生は食事会の事もちゃんと話してくれたのに、私が香山先生に嫉妬するような事言ったから…先生、呆れちゃったかな、て…」 「……」 先生は、はあー、とさっきよりも大きなため息をつく。 「…佐伯は、ほんと分かってないな。」 「え?」 「あんな可愛くヤキモチ妬かれて、怒るかよ。嬉しいに決まってるだろ。」 「…えっ、でも、あの…先生さっき、ため息ついてたでしょ?今も…」 「それは、さ…どうせあんな可愛く妬いてくれるなら、会ってる時にして欲しかったな、て思っただけ。」 「…っ…」 「しかも、俺が怒ってると勘違いしたら今度は、そんな泣きそうな声出して…ったく、どうしてくれるんだよ。」 先生は、ふてくされたような声で呟く。 「……今、メチャメチャ抱きしめたい。お前のこと。」 「!」 「どうしてくれるの。この欲求。」 「えっ、あの……どう…しましょう…」 私がアタフタしていると、先生は、ぷ、と吹き出した。 「うそ。いいよ、お前がそんなに困らなくても。」 「…え…」 「自分で何とかするから。」 「……」 ………自分で、何とか? *
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