雨の日の秘密

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先生はまた、大きくため息をつく。 「…あ…先生は布団じゃなくて、まく…」 「違う。布団も枕も、抱き締めてないから。」 「え…」 「お前なあ…紛らわしい事言って、ドキッとさせるなよ。」 「紛らわしいって…」 「……もう、いい。」 「え…」 「何か今ので、ドッと疲れた…もう寝る…」 「?…あ、はい…おやすみなさい。」 「…そうだ、佐伯…」 「はい。」 「寂しい時は、寂しいって言えよ。」 「…はい…」 「おやすみ。」 ……せんせ…優しい……。 最後にかけられた優しい言葉に、キュンと胸をときめかせながら、 私は布団ではなく携帯電話を、胸に抱え込むように抱き締めた。 *
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