雨の日の秘密

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…3Dテレビに応募する分のシールはもう集まったのに、先生まだ、学校でも買ってるんだ…。 あ、もしかして…ペアエプロンのために…。 最近、なかなか一緒に帰れる日がなかったけど、今日は雨が降っている。 …今日は一緒に帰れるかもしれないし、私もお昼に1本買っておこうかな…。 私は自動販売機にお金を入れて、応募シールのついた缶コーヒーのカフェオレのボタンを押した。 ゴト、という音がして、カフェオレが落ちてくる。 取り出し口からカフェオレを取り出して振り返ると、今度は香山先生が、じ、と私の手元を見つめていた。 「…香山先生?」 私の呼びかけに顔を向けた香山先生の目は、さっきよりも鋭く感じられる。 「あの…」 どうしたのかともう一度声をかけた私に、香山先生は声を落として囁いた。 「…佐伯さん、少し話がしたいんだけど、いいかしら…」 「…何の話ですか?」 「滝沢先生のこと。」 「!」 「ここじゃ話せないから…あっちで話しましょう。」 ……滝沢先生のこと、て…もしかして香山先生、私達が付き合ってることに気づいたのかな? それとも…今度の食事会の話、とか……。 ドクドクと激しくなる胸の音を感じながら、私は香山先生の後をついていった。 *
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