雨の日の秘密

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「教頭先生、元々滝沢先生が佐伯さん達を車で送ってあげてることを知ってて、あまり良く思ってなかったみたい。 だから私から、家まで送って行ったことがあるって聞いて…かなり不機嫌そうになってしまって…」 「……」 「だから、フォローしておいたわ。」 「え…」 「これ内緒ね。私ね、実は教頭先生と面識があるの。うちの父と教頭先生が知り合いで…」 「……」 「それで、本当のところ、どう思う?て聞かれたの。つまり滝沢先生が、佐伯さんか神崎さんのどちらかに、特別な感情を抱いてるかどうか、てこと。」 サーッと血の気が引いていく。 『お気に入り、ね…まあ、そうかな。』 もしも香山先生が、教頭先生にあの言葉をそのまま伝えてしまっていたら…滝沢先生の立場はかなり悪くなってしまう。 「それで…香山先生は、何て…」 震える声を落ち着かせながら、私は香山先生に続きを促した。 「もちろん、『そんな風な雰囲気は全く感じなかった。』て言っておいたわ。だって私、本当にそう思ってるもの。」 香山先生は、ほんの少し挑発的な目で私を見つめる。 「滝沢先生みたいな大人の男性が、高校生を本気で相手にするはずないもの。佐伯さんも、そう思うでしょ?」 「…私、は…」 …どうしよう…何て答えよう…。 私は、返答に詰まってしまう。 *
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