ほのかに薫る恋の花

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「誰かいる?」  外から誰かの声が聞こえました。  声を聞く限り女性です。 「はい!」  少年は反射的に返事をしました。 「どう、他に誰かいる?」 「いえ、誰もいません!」 「歩けるのかな?」  女性はさらに聞いてきます。  少年はそれに答えようと立ち上がろうとしました。 「!」  なぜか立ち上がれませんでした。  見れば、右足があがりません。  自分の手でその部分を触ってみると、べとっと何かがつきました。 「ダメです! 足が、足が」  少年は再び泣き出しました。  自分が動けなくなって、助けてもらえないと思ったからです。 「ちょ、ちょっと待っててね」  女性の声が聞こえなくなりました。  しばらくは何の音も聞こえませんでした。
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