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あたたかなもの。それはいれたてのココア。誰もいない図書館の窓辺。あいつとおそろいのマフラー。
(他に何があるだろ?)
先生に呼び出された恋人を待つあいだ、せめて寒さを和らげるために、アタシは指折り数えてあたたかいものをあげていく。
(早く終わらないかなぁ…)
指折り数えて、先生の手伝いをしにいった恋人を待つ。
本当は寒いし寂しいし早く帰りたいしであいつにたくさん文句を言いたい。どうして早く帰ってきてくれなかったの?寂しかったよ早く会いたかったのに!って。でもそれは言ったらいけないこと。
アタシはあいつがいなくても寂しいって感じるだけ、とくに差し迫って困るわけじゃない。でも先生は困る。あいつの手伝いがないと困る。だからあいつはわざわざ手伝いに行ったんだろうな。じゃああいつは先生を助けるべきなのだ。
それを知ってなお、『アタシのところに早く来て』なんていうのは少し自己中心的だし、とてもワガママだと思う。……そう言いながら、早く来てほしい、なんて。この甘ったれめ!
(いや、なに頼まれたかは知らないけど。)
でもきっと、とても大事なんじゃないかな。わざわざあいつが先生を手伝いに行くくらいなんだし。
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