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よし、これでだいたい伝わっただ……あーっダメだ!バカバカアタシのバカっ!「おつかれさま」って言ってない!疲れを労うのが先でしょ!
「ごめん間違えた!おつかれさま!」
よしこれで全部言えた!
ふぅ、たくさん口動かすと疲れるなぁ。
目の前の恋人はぽかんとアタシを見ていたがそのうちに、「なんかよくわかんねぇけど……」と苦笑した。
「べつに寂しいって言うくらい、俺は全然気にしませんよ。」
「…………おまえは優しいなぁ…。」
年下に気遣われたのが恥ずかしくて不甲斐なくてアタシは俯いた。なんでこいつこんなに優しいんだろ。このお人好し。それだからアタシみたいなワガママ女につけこまれるんだ。
「ごめんね、ありがと。本当はすごく寂しかったし早く帰ってきてほしかったの。あと真っ先におつかれさまが言えなくてごめんね。」
「何をそんなに気にしてるか知らねぇけど……とりあえず帰りますか?」
「うん帰ろうか。」
あたたかいものはいれたてのココア。誰もいない図書館の窓辺。おそろいのマフラー。そして。
(年下の恋人の優しさ。)
あぁ、アタシはしあわせ者だな。
やばいテンションあがってきた。アタシは恋人の手をぎゅっと握って勢いよく振り回した。
(了)
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