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「失礼致します。
壬雨様、朝食のお時間ですよ。」
す、と襖を開け、静かに部屋へ入った菊は、既に身支度を終えて本を読んでいる壬雨の姿に、目をぱちくりさせた。
それに気付いた壬雨は、開いていた本に栞を置いてぱたんと閉じた。
「…何だ。」
「いえ、まだ眠っていらっしゃるものばかりと」
少しは国王らしくなられたのですね、と菊は笑う一方、壬雨は眉を顰めながら食事の乗った盆を受け取った。
「おちょくってんのか。」
「お襁褓を履いていらっしゃる時からお世話させて頂いてましたので。
まだそれが抜けていないのかしら。」
「かしら、じゃねぇ。
可愛く言っても可愛くねぇんだよ。」
「あらやだ。
まだ生意気を言う元気はあるようで何よりです。」
「…これだから女は嫌いだ。」
微笑む菊から目を離し、怠そうに箸を進めた。
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