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私は一人。 一人ぼっち。
ぼっちと言っても天涯孤独な身じゃないけれども…
高校生になった私は
父の転勤とともに 昔住んでいたこの地に帰ってきた
前の学校には友達もいた
今はいない
いるのはこの1冊の小説だけ
転校初日は不安と興奮でいっぱいっぱいの私を好奇の目でみてきが クラスメイトは
日にちが経つにつれ次第に少なくなってきた
(やっぱり、そういうもんなんだな...
でも、まだ3日目だし大丈夫だよね?浮いてないよね?)
元々、私は人付き合いが得意ではないし 目が少し悪いせいか目を細めて見てしまう。見られる側としたらあまりいい気はしないだろう。
他人である クラスメイト気軽に話しかけるなんてこともできない
(なんかきっかけがあったらなぁ)
吹き始めた初夏の風を 教室の窓から吸い込んだ
夏が近い。
高校は中学生とは違って恋をしたり、友達と放課後にカラオケや街をブラブラしたり、何かに夢中になったりと
そんなもんだと思ってた
だけど転校したこの土地では私の友達はこの本だけ。
窓から入る風がページの端をペラペラと浮かせ踊っているように見えた
『1人で楽しみやがって…』
目を閉じてこの土地で私が思い出すことは
丘の上の向日葵畑
祭囃子の音
そして いなくなってしまった女の子と
終わらなかった"かくれんぼ"
『ん?最後のはなんだっけ...?』
どれもこれも曖昧にしかおぼえてない。小さい頃の記憶なのだから当たり前といえば当たり前だ
私の中には ただの過ぎ去った"過去"だ
『...じめよっか』
え?
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