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どう考えても優れものだ。
けれどもそれが、いとも簡単に壊れてしまったのだ。切なくもなる。
しかもこのシルバークロスは手に入れたばかりの品ときた。
うなだれる他あるまい。
確かにこれは消耗品で、徐々に使えなくなっていくものではある。
だが、こんなにも早く駄目になるなんて……。こんなこと初めてだ。
異様な熱を感じたあのとき、火傷する以上に熱かったのを覚えている。
どうやら対象はかなりの使い手であるらしい。
しかし、クロスが壊れてしまった今、相手が魔力を発したとしても、もう捕捉する術はない。
今はただ、地道に先程の反応があった場所の近くを探し回っているだけ。
けれど、相手が何者なのか、どういった意図があるのか。その事について俺としては確認しておく必要がある。
危険の可能性がある以上、本来護衛としては首長の近くで待機しておかなければならない。だが、幸いなことに首長の護衛は俺の他にもいる。
俺の役割は状況に応じて自由に動くこと。護衛に任命されたときから首長直々にそう教えられてきていた。
だから……というか、その言葉を都合良く拡大解釈して、俺はふらっとこのマリンランドを離れることがよくある。
無論、もう一人の護衛からは自由に行動しすぎだとの批判を受けるが、今のところ全て無視している状況。
ともあれ、こうやって危険の種を先んじて摘んでおくことは、首長にとっても、もう一人の護衛にとっても、俺にとっても有意義であるはずだ。
そしてなにより、面倒事が拡大するおそれを防げるという大きな大きな利点がある。
ならば多少の行動は押してしかるべき。損して得取れの精神だ。
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