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血で血を洗う戦い。
けれど、両国の争いに勝敗がつくことはなかった。
お互いの国力を削る一方で、国内の不満がたまるばかり。
そんな折、多民族国家であるウォルタリアでは独立運動が各地で急激に活発化しはじめ、治安維持に兵力の多くを動員しなければならなくなった。
他方のミハイロフも、国内で革命が起き、もはや戦争どころではなく、一旦マリンランドのことを脇に考える必要が出て来てしまった。
そのような両国の思惑がある中、ついに休戦協定を結ぶことに成功。今から十九年前に両国は軍を撤退させた。
長きに渡る戦争の末、マリンランドは緩衝国として形式的に独立を認められることになったのだ。
ようやくこの国にも平和が訪れた。めでたし、めでたし。
おめでとう。良かった、良かった。
……しかし、そんな状況には、残念ながらこの国は毛ほども近付かなかった。
いつの時代もそうだが、戦争は始めるよりも終わった後の方が大変である。
しつこいようだが、マリンランドは島国だ。だから基本的に攻め込まれにくいし、おまけに大国と大国の狭間に位置するほどの好立地で不凍港もあるから貿易がしやすい。
つまるところ、これからの発展が期待される未来ある国というわけだ。
しかし、そんな国。ここで一つ、問題が残ってしまう。
一体誰がこの空白地帯を治めるのか──ということ。
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