13人が本棚に入れています
本棚に追加
4-11
レイリューンは足をひきずるような気持ちで扉に近づき、部屋を出た。
物見高い侍女たちはみな庭園のほうに行ったのか、人影はまばらだった。
少し外の空気を吸ってこよう、と歩きだす。
壁に寄りかかりながら外に出ると、うらさびしい庭があった。
植えられた花は白で統一され、ところどころ野放図に茂っている箇所もある。
野生の花のような趣。
不意に、沿道で馬車を見送っていた、ただひとつの花を思い出した。
遠くから、こちらを案じるように立っていた花。
「ああ……」
いてもたっても、いられなくなった。
最初のコメントを投稿しよう!