1 歓迎

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2-4  ややしてひとりの老人に案内されたアルスたちが乗り込み、馬車が走りだす。  だんだん、近づいてくる。しかし窓からのぞく横顔だけではあの赤い瞳がわからない。  通りすぎてゆく。  遠ざかってゆく。  そのまましばらく時間がたち、沿道の人々がざわざわと引き上げはじめても、そこから動くことができなかった。 「セリューナ、もう行っちゃったわよ」  下から母親の声がする。 「……うん」  人垣がだんだんまばらになっていく。  あんな一瞬だけで、どうして満足して帰ってしまえるんだろう。 「セリューナ?」 「…うん」  それでも、声をかけてくれる母親がいてくれて嬉しかった。  この気持ちをわかちあうことはできなくても、そばに誰かがいてくれることが、嬉しかった。
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