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3-1
二人は王城の中にあるきらびやかな貴賓室に通され、こちらでおくつろぎください、と二人だけにされた。
部屋は家具や調度品のひとつひとつに派手な彫刻や金箔が施され、あまり居心地がいいとは思えなかったが、アルスは好奇な目から解放されたことにほっとした。
これから国王との会談までしばらく時間がある。
「レイン」
「はい」
「天は、豊かなのだな」
アルスは乱暴に椅子を引いて座り、テーブルに置かれていた果物に手を伸ばした。
「フェシルミアさま、それ……」
「いけないか?」
「安全だとは思いますが、賛成しかねます」
「私に毒を盛ったところで天に利益はない」
部下の進言もきかず、口に放りこんだ。
新鮮味に欠けた甘ったるい味に、顔をしかめる。
「美味いです?」
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