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3-4
「そういえば、お前、まだ…、だめなんだろう? その、男に触れられることが……」
気遣うように、言葉を濁した。
「そういう意図を持って近づいてくる男以外なら、何とか大丈夫です」
「気をつけろよ。お前はその顔だからな」
「……どんな顔なんですか」
不快そうに片手を頬にあてた。
「いざとなれば、外交のことなど気にせず殴り飛ばせ。私にはお前の心の傷のほうが気がかりだ」
レイリューンがうつむく。
「だから幸福だって言うんですよ、私は」
「何をふざけたことを言っ…」
ノックの音がした。それからやや置いて、案内役の女性の声がした。
「会談の準備が整いました。どうぞ、おいでください」
会話の中断をレイリューンは喜び、その様子にアルスは少々立腹したが、会談という言葉に表情を引き締めた。
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