1 歓迎

17/27
前へ
/131ページ
次へ
4-1 「大丈夫か、レイン」  気遣わしげに、アルスが訊いた。 「……はい、どうにか」  安心したような返事に吐息する。安堵と苛立ちとが混ざっていた。 「あの国王、何を考えているのやら」 「妻子はいるはずですよね、確か」  だが、姿を見せる様子はない。なめられているのか、恐れられているのか。 「政略だろう」 「ええ……」  不快そうに、レイリューンは国王の触れた手の甲を布で押さえた。見たくもない、といった風情だ。 「貸せ」  いきなりアルスが強引にレイリューンの手を引き、その布の上から口づけた。 「……え…っ」  驚きのあまり、レイリューンは思わず、されるがままになっていた。
/131ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加