1 歓迎

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4-2 「これで差し引きゼロだ。忘れろ」  直接触れなかったのは、あの国王と間接に触れることになるからか、それともこちらを慮ったのか、どちらなのだろう、と思った。 「辛い訪問になったな。こんなことならお前を連れてくるんじゃなかった。適当に女を見繕って、婚約者だとでも言えばよかったな」 「それは問題でしょう」  アルス一族は長が妻帯することを好まない。  アルス本人も、どうせ危険に巻き込んでしまうなら、持たなければいいという信条がある。 「……冗談だ」 「……え?」  沈黙が落ちる。 「いや…、いい。気にしないでくれ」
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