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レイリューンは貴賓室の窓からアルスとマセラ王、それを取り囲む記者たちを注視した。
とりあえず国王の近くにいる限り、さしあたって危険なことはないだろう。何より彼はこれまで幾多の危機を切り抜けてきた。
心配することもないか、と窓から身を引いた。
瞬間、扉をノックする音がした。
何だろう、と思い「はい」と返事をするに留める。
「ウォルフと申します。国王さまより、退屈なさっているあなたのお話し相手をと言いつかりました」
退屈でも別に構わないけどな、と思いつつ、無下に断るのも失礼かと扉を開けた。
恭しく一礼する男が目に入る。
「いえ、そのように敬意を払って頂かなくて結構です。…どうぞ」
仕方なく部屋の中を示す。
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