1 歓迎

22/27

13人が本棚に入れています
本棚に追加
/131ページ
4-6 「では、失礼いたします」  同時に、窓の外から大勢の笑い声が飛んだ。 「お恥ずかしい限りです」  ウォルフと名乗った男が言った。 「え?」 「和やかさを演出しようと…ああ、いえ」  何を言っているんだろう。窓の外のことを言っているにしては、辛辣すぎやしないか。  視線を窓に投げると、背後からウォルフが近づいてきた。  嫌な感じだな、とは思ったが、相手は国王からの使者なので、どうすることもできない。  ふと、髪に異質な感触。 「綺麗な黒髪ですね」 「なにをっ」  思わず、勢い振り向いた。 「魔族の方は黒髪が多いのですか。長殿も黒髪でしたね」 「あ…、ええ」  なんだ、ただの好奇心だったか、と胸をなでおろす。 「それに、長殿もあなたも、かなりの美貌でいらっしゃる」  ウォルフは不意に、レイリューンの右手をとった。
/131ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加