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「では、失礼いたします」
同時に、窓の外から大勢の笑い声が飛んだ。
「お恥ずかしい限りです」
ウォルフと名乗った男が言った。
「え?」
「和やかさを演出しようと…ああ、いえ」
何を言っているんだろう。窓の外のことを言っているにしては、辛辣すぎやしないか。
視線を窓に投げると、背後からウォルフが近づいてきた。
嫌な感じだな、とは思ったが、相手は国王からの使者なので、どうすることもできない。
ふと、髪に異質な感触。
「綺麗な黒髪ですね」
「なにをっ」
思わず、勢い振り向いた。
「魔族の方は黒髪が多いのですか。長殿も黒髪でしたね」
「あ…、ええ」
なんだ、ただの好奇心だったか、と胸をなでおろす。
「それに、長殿もあなたも、かなりの美貌でいらっしゃる」
ウォルフは不意に、レイリューンの右手をとった。
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