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危険を告げる音が耳の奥で鳴る。
それは、過去の映像を思い起こさせる。
『イザエラ族から逃げようったってそうはいかねえ。逃げたらどうなるか、体に教えてやるよ』
厭らしい目付きをした男たちが、砂漠に引き倒された自分を見下ろしていた。
違う。これは、もう終わってしまった十年前のできごと。
ここにいるのはイザエラ族の男じゃない。ウォルフと名乗った天の男。
混同してはいけない。彼はただ親切で、いや、そうではないかもしれないが、どちらにせよ抵抗などするべきじゃない。
でも……。
「い……やだ…っ」
レイリューンは男の手を乱暴にはらいのけた。
そして、かつてセリューナが空の色と称した薄い水色の瞳で、きつくウォルフを睨みつける。
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