プロローグ

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1-2  天の公式発表によると、多くの部族がある魔族の中でもアルス一族は、天と魔の世界が繋がる天の扉の突破を狙ったイザエラ族を阻止し、その族長を天へ引き渡したという。  そのため、これまでは娘を攫い、身代金を奪うという劣悪な印象しかなかった彼らが正式訪問を許された。  しかし、事実とその発表が少し異なることをセリューナは知っていた。  アルス一族がイザエラ族の侵攻から天を守ったのは今回きりではない。  それまで天はアルス一族の功績を認めなかったため、やむなく人質を取り、身代金という形で報酬を受け取っていた。  それを知りえたのは、セリューナがかつてアルス一族に誘拐されたことがあったから。  しかし、セリューナはそれを声高に叫んだりはしない。これは国同士の問題であり、庶民の自分には関係のないこと。  そして何より、身の安全のため、別れ際にアルスが注意してくれたことでもあったから。
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