2 許容

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5-1    2 許容  秋の空はすぐに表情が変わる。高い位置にある白い雲が次々と飛来し、消えていくからだ。  ぼんやりと、セリューナはそんな空を眺めていた。 「セリューナ、もういいかげんにしなさい」  父親の声にはっと我に返り、持ち慣れた鎌を握りしめた。 「ご、ごめんなさい」  あわてて腰をかがめ、稲穂の刈り取りを再開した。 「そうじゃない。お前はいつまでそうやって魔族のことばかり考えてるつもりだ。いいかげん忘れなさい」 「……だって、仕方ないじゃない。今、天にいらっしゃるんだもん」  父親はやれやれと吐息した。 「憧れるのはいい。ただ、その先がないだろう。そのくらいわかってるはずだ」
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