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それもそのはず、突然背後から何者かが抱きついてきたのだ。
「すみません」
そして、穏やかな男の声がする。
聞き覚えがあった。でも、まだ、信じない。
「驚かせるつもりは……、なかったんですが」
セリューナはそのまま動けない。声の主が誰だか予想がついても、動けなかった。
「レイン…さん…?」
「……はい」
「嘘…やだ…ほんとうに…?」
腕をふりほどき、向かい合う。
たった今、見上げた空のような、薄い水色の瞳だった。
「レインさん……」
本物のレイリューンがそこにいた。
「すみません…来るつもりも…なかったんですが」
「どうしたの、何があったの。どうしてこんなところに?」
レイリューンは不意に、ふわりと笑った。
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