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レイリューンは、セリューナが用意した椅子に毛布をかけた即席のベッドで横になった。
「すみません、こんなことまで……」
「いいのよ、気にしないで」
毛布を肩までかけてくれると、日向に吹く風のような匂いがした。
「少し待っててね。両親に話してくるから」
言って、すぐに駆け出す。
しばらく待つと玄関がひらき、セリューナの輪郭によく似た男性が入ってきた。
面識はないが、恐らく彼女の父親だろう。
横になったままでは失礼だと思い、起き上がろうとした瞬間、肩を掴まれた。
息がとまる。
ここまで親切にしてくれている家の主に、触れるななど、とても言えないのに。
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