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5-6
「いや、そのままでいなさい。今、セリューナとうちのが薬草を探しに行っている」
男性はすぐに手を放し、もう一枚毛布を持ってきて、その上からかけてくれた。
「あ、ありがとうございます」
「顔色が悪い。ここでは何も気にしなくていい。あなたはうちの娘の命の恩人のようなものだから」
「…すみません」
「熱は?」
その手が額に置かれる。全身に震えが走った。
「ないようだな。だが体温が低い。血圧が下がっているのかもしれないな」
今度は脈をみようとする。
レイリューンは思わず手を引っこめ、勢い起き上がってしまった。
「……あ…っ」
セリューナの父親はどう思っただろう。人の親切を何だと思っている、と怒っただろうか。
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