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5-10
「だからって、どうして黙ってるのよ。力関係を見ればアルス一族のほうが有利なはずよ?」
「それはセリューナの言葉とも思えませんね。フェシルミアさまは威しで友好を勝ち取ろうとは考えていませんよ」
「それはそうだけど…でも!」
「手を貸そう」
突然、セリューナの父親が言った。
「父さん…?」
そのまま、右手を差し出す。
「触れられるのが駄目でも、自分から触れるなら大丈夫だろう。儂はセリューナの父親だ。他意はもちろんない」
レイリューンはためらいがちに、その手と顔とを見比べた。強面の壮年をすぎた男性の手。
「ムリです、…すみません」
口元を押さえた。
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