2 許容

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6-1 「時間があればいいんだが…、そうだ。セリューナ、ちょっと手伝いなさい」 「はい」 「お前なら大丈夫だろうから彼に手を置いて、…そう、それでいい」  そして、二人の手の上に、父親は手を重ねた。 「セリューナ、そのまま手をどけなさい」 「え…っ」  レイリューンが困惑の声をあげた。  しかしセリューナは父親の行動を理解して手をどけた。  避ける間もなく、父親の手がレイリューンに触れる。 「……っ」  過去の情景と、つい先ほどの男の手が思い出されて震えが走る。  だが、このひとは違う。  違う、違う、違う、と自分に言い聞かせ、どうにか堪えた。
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