1 歓迎

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2-2 「いい、いい。どうせ相手から見えても誰かはわからないわよ。お祭りなんだからそれくらいは大丈夫」 「お祭り…?」 「お祭りよ?」 「そ、そうだっけ?」  しかし実際、母親の言うように木にでも登らない限り、アルスの姿は見られそうにない。  あの燃える夕景のような赤い瞳を間近で見つめたのは、もう遠い昔のような気がする。  あの時は、天へ報酬を要求するための人質としてアルスの傍にいられたが、天に戻ってきた今となっては、いくら彼に想いを寄せても叶わないどころか、お目にかかることさえできないのだ。  諦める努力をはじめるには、木登りはいい運動かもしれない。 「よし、登るかっ」  軽く腕まくりをして低い枝に手をかけ、身軽にするすると上まで登っていく。 「セリューナ、見える?」  母親が心配そうに下から声をかけてくる。 「うん、何とか。…あ…っ」 「え!?」
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