―六日月―

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あの人が言ったとおり、私が眠っている間も何もなかった。 きっと油断させる算段に違いない! 騙されないから! 朝起きて一番に天井を睨みつけながらそう胸に誓った時、あの人がふすまを開けて入ってきた。 「おはよう。はい、朝ごはん。」 何で起きているとわかったのだろうか・・・。 朝ごはんは昨日と同じお粥だった。 「五日も眠っていていきなりしっかりしたものを食べたらお腹を壊すから。」 ん?五日・・・も? 「そう、五日。酷い怪我だったから。でも目が覚めてよかった。」 また考えを読まれた気がした。 「・・・。」 五日も看病してくれたのだろうか?それとも私を油断させる嘘なのだろうか・・・。 そういえば服も違うし、傷の手当てもしてある。 っ!傷の手当てをしたということはアレを見られたに違いない。ならば信用することはできない。人間など信じられるものか! 「そういえば自己紹介がまだだった。」 あの人は椀が空になったのを確認してから思い出すように言った。 「私は雪夜叉。よろしく。」 それだけ言うと椀を片付けに行った。 ゆきやしゃ・・・。 ・・・私の名前・・・聞かなかった。 しばらく、土間で食器を洗う後ろ姿を見ていた。 やがて雪夜叉が水を汲みに行くと家の中を眺めてみた。 小さな家だった。 土間と私が横になっている部屋とそれと同じ広さの部屋が間にあるだけだった。 床はすべて木張りで、間の部屋には真ん中に囲炉裏があった。 家具と言えるような物はほとんどなく、文机と箪笥が一つあるだけ。 ・・・一人で住んでるのかな。 .
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