―三日月―

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ぱちっ――ぱちぱちっ――― 火の音がする。 私はうっすらと瞼を開いた。疲れているのか瞼が重い。 ふすまの隙間から明かりがもれていた。 温かい・・・。 まだ夢を見ているのかしら・・・。 ふとふすまが開き、誰かが入ってくる気配がした。 体を起こす気にもなれず横になったままでいた。 部屋は暗く顔は見えない。 その人物は膝をつくと私の顔を覗き込み、額に触れた。 長い髪が私の顔にかかる。 「・・・母様?」 額に触れる手はひんやりとして気持ちがいい。 “母様”は笑った気がした。 安堵した私は心地よい眠りへと誘われた――――― .
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