プロローグ

2/3
前へ
/25ページ
次へ
――――世の中には光が在れば陰が在るように常に対になるモノが存在する――――――――――― 暗闇の中1人息を荒くして逃げる男がいた。 ――――それと同様に強いモノがいれば弱いモノがいる――――― 男の顔や体には大量の血がついていた。 自分の血ではないようだ。 ――――故に闘いに負ければ死ぬということになる――――――― 右手に持つ刀を強く握りしめ体が悲鳴をあげているにめ関わらずひたすら走っている。 ――――別に今に始まったことではない―――――――――――― 男の表情は酷く強張っていた。 何かに怯えていた。 まるで見てはならないモノを見たたような表情だった。 ――昔からよくあることだ――― 男が転げながらも必死に走りある建物へと逃げ込んだ。 今は廃虚となったビルの中へと。 ―――現在世界は平和である。しかしそれは表の話――――――― 男の脳裏に蘇るあの姿。 同朋を殺し、屍を踏みつけ次の獲物を襲うあの狂気の姿。 ―――人々は知らない。ただそれだけである。普通は知らない―― 男は残り僅かの力を使い屋上へと出た。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加