4人が本棚に入れています
本棚に追加
「(後少しだ。
この子がアリスかどうかわかるはずだ)」
犬部の表情が一層険しくなる。
「ダメ!」
咄嗟に†羅火†は真由の手を弾きジュースを取り上げた。
「……ッチ!
何しやがる!」
†羅火†の妨害に犬部は舌打ちをした。
「貴女、それに何か混ぜたでしょ!」
犬部を指差し†羅火†は怒鳴った。
「…………」
犬部は黙って俯く。
「……酷い女だ。行こう、真由」
腹を立てた米部は真由の手をぐいっと引いた。
「あ、うん……」
手を引かれるままに真由は米部の後についていった。
「どうして仲間を売るような真似するの!」
卑怯な犬部に†羅火†は怒鳴る。
「怖いね~、スナフキン」
藤はスナフキンに愚痴る。
「仲間割れ~」
「仲間割れ~」
何処からともなくルカとルイが現れた。
二人はどことなくこの状況を楽しんでいるように見える。
「やっぱり現れたな……」
犬部はニヤリと笑った。
「まさか、ルイとルカをおびき出す作戦だったの?」
犬部の頭脳プレイに†羅火†は驚いている。
「……どうかな。
(まぁ結果的に出てくれてラッキーだったがな……。
捻り潰して聞き出してやる)」
メラメラと犬部の中で何かが燃え上がる。
「犬部?」
犬部の瞳の奥に隠された気持ちに†羅火†は戸惑いを隠せない。
ゴクゴクゴク……
何を思ったのか犬部は先程と同じジュースを取り出し、勢いよく飲み干した。
「何してるのよ!」
危機を察知した†羅火†が叫んだ。
バシッ!
†羅火†は慌てて犬部からジュースを払いのけたがもう中身は入っていなかった。
「ふふ……。
私がアリスだったら一石二鳥だろ?」
口を拭いながら犬部は不敵に笑う。
「命を粗末にしないで!」
ガクガクガク!
犬部の肩を揺すり†羅火†は落ち着かせようとしている。
この世界に来てみな精神的に病んできていた。
最初のコメントを投稿しよう!