始まりの予感

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風のケン、そんな愛称で呼ばれる僕の名は高島健太郎。 ふふっ、実は気に入っていたりする。武道を志し、一に努力、二に努力。三、四がなくて五に努力の精神で僕は武道の道を突き進んでいる。 と言っても、腕はからっきしだけどね。 「お兄ちゃーん! 入るよー」 僕は固まってしまう。鏡の前で。 「ゲッ! お兄ちゃん何してるの……」 ジト目で彼女、妹の瑠璃は僕を見る。 や、やめてくれ。 僕が悪かったよ。鏡の前で筋肉をボディビルダーのようなポーズで、うっとり眺めていた僕が悪いんだ。 けして、ノックせずに瑠璃が入ってきたのが悪い訳じゃない。 「妹よ、ノックはしなさいっ!」 そうは思っても、妹の躾はしっかりしなくては。 「それ、私に言ってる?」 キュピーン、そんな音がしたような気がした。 妹の目が光る。 妹よ、やめてくれよ? 瑠璃は、一瞬ためてから扉の前から加速する。 「てやぁっ!」 鏡の前で尻を突き出し、前屈みになり両腕に力を入れ筋肉を膨張させていた僕の尻に見事な跳び膝蹴りが炸裂した。 「ぴぎゃあっ」 鏡に頭から漫画みたいに蹴り飛ばされた。
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