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「なんでそこまで気づいてるんだ?…そうなんだあの丘はこの辺に多い石灰石の棚でできているんだが、周りの森を切り払ってしまったせいで棚の上の表土が、ところどころ雨風ですり減ってるんだ。同じだけ石を積んでも、足元の沈み具合が違うせいで高さにずれがでちまってる。ぴったり梁と梁が寄り合い支えあう設計のはずが…」
「さすがザクスだな。だが棟梁はおいらなんかの言うことは取り入れてはくれねえ。足元から組みなおすっていったら、50年前に逆戻りだから無理はねえが」
「しかしシグル、あれじゃちょっとした風で天井が落ちるぜ?」
「うーん、じゃあさきに、誰もいないうちにおとしちゃいましょうかー?」
やにわにのんびりとした黄色い声が響いた。
はっ、と気が付くとあたりにいる全員がザクスたちのやりとりに集中していたのだ。
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