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学校付近の坂道を下った先にある商店街。もう九月であるためか日の沈みも早い。まだ五時半のわりには辺りが暗い。徐々に人気も失われていっている。
そんな商店街をも俺と弘は歩いていた。
「……はぁ」
「元気出せよ、晃斗。また次に頑張ればいいじゃないか……」
「気安く言ってくれるな、お前は」
さっきから弘の言っていることが地味に効いている。「次」って気安く言ってくれるけどな、今回の告白は俺の全身全霊を懸けたものだったんだぞ? それを断られて、今の俺はハートフルボッコなんだよ。暫く立ち直れないくらいだわ。
そんな状況の俺に「次頑張れ」なんて、お前は鬼か。慰めてくれてるのは嬉しいが、もう少し言葉を選んでくれたって……。
「今度はあの娘なんてどーだ? ほら、春原さんとか……」
「お前な……」
……ほんと勘弁してくれよ、お前。
「もういい」
「あ?」
「先、帰るわ……」
「ちょっ、晃斗……?」
俺は弘より前へ出る。もうこいつにゃ付き合ってらんねー。付き合えるほどの体力も精神力も今日のところはねーわ。
先刻の告白フェイズに全てを根こそぎ持っていかれたからな。両方ともゼロに近いわ……。
「わり、また月曜にな……」
「あぁ、またな……」
面食らって立ち止まってしまった弘をそのままにして、俺は歩き出す。
月曜に、なんて言ったが、果たして彼と月曜に会えるんのだろうか。そんな一抹の不安を胸中に、その場を足早に去った。
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