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「お前ら、終わったぞ」
後ろに蹲ってブルブル震えてるカエデと、それを慰めるルナに近付く。
全く......やっぱり一人の方が楽じゃないか。
「あ......ありがとうございます、ライさん」
「おい、カエデ、さっさと立てよな。いい加減鬱陶しいぞ」
ルナそっちのけで、カエデに話しかける。
「......もういない......?」
相変わらずの涙目で周辺を見渡す。
そしていないことを確認すると、手で涙を拭き、
「............ゴホン、少々取り乱した」
「お前、そんなんで誤魔化せると思うなよ」
何が少々だ。完璧にキャラ崩壊してただろ。
「ぅ......しょうがないだろ!ああいうぶよぶよして気持ち悪いのは生理的に無理なんだ!」
バラバラの肉片なら大丈夫......と小さく呟く。
「まぁ、別にいいんだけどな?それよりもルナ、面白い物があるんだが......」
「面白い物?」
懐から一つの機械を出して、ルナに渡す。
「これは......?」
「真ん中に赤いボタンがあるだろ?それを押してみろ」
「ボタン......これですか?」
そう言って、ルナがボタンを押した。
すると、
『だって、だって!あんな気持ち悪いの無理ぃ!』
『きゃあああ!!気持ち悪いいいいい!!』
『もう無理~......帰りたい~......てか帰せぇ......』
録音しました、サーセン。流石に動画まで出来なかった。
「おい......これはどういう事だ......?」
カエデが俺を睨みつけながら言う。
「いや、たまたま、録音してたんだ」
俺は笑顔で言ってやる。
するとカエデは、
「くそっ!それを渡せ!」
ルナから録音機を奪い取るのか、一気にルナの手に狙いを定めて詰め寄るが、
「はい、残念~。既に俺の手の中~」
ゲートで俺の手に移動させる。
録音された時点で終わりなのだよ。
それと、やっぱり俺はドSかもしれない。
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