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「て【転移】!」
カエデさんは機械を持ちながら、転移でこの場を去った。
残されたのは私と、不自然に優しそうな笑みを浮かべるライさんだけ。
と思ったら、ライさんは優しそうな笑みから一転、どこか黒い笑みを浮かべて、
「ふ、後の反応が楽しみだ」
あ、やっといつものライさんに戻りました。
今までのは演技だったんでしょうか。
「さて、さっさと報告しに行くぞ。まぁ時間的にまだ余裕があるんだがな」
?一体何に余裕があるんでしょう。
むむぅ......どれだけ考えてもライさんが何を考えてるのかわかりません......
「【ゲート】」
そんな事を考えていると、ライさんが何かの魔法の詠唱をした途端、景色が森からコックボ村の村長さんの家に変わりました。
ライさんは私を気にしないで、村長さんの家の扉に歩いていきます。
そして、ノックをした。
しばらくすると、中からはパタパタと小走りをするような足音が聞こえて、
「は、はい、ここはコックボ村の村長の家です。どなたですか?」
最初に来た時と同じセリフですね。
「えー、ライです。依頼内容の討伐が完了したので、報告しにきました」
またしてもライさんは敬語で喋る。
我慢、我慢です!鳥肌なんてしません!
「あ、す、少し待っていてください」
ふぅ......なんとか耐えました。慣れれば問題無いです!
またしばらくすると、扉が開いて中からは村長さんとその後ろに最初の女の子が出てきました。
「ほっほっほ、わざわざこんな村まで来て、依頼をこなしてくれてありがとう」
「依頼ですから」
なんかライさんって意外と社交辞令とか得意なんですね。
「それでは、また何かあったらギルドの方に」
ライさんはそう言って少し頭を下げる。
そしてこちらに歩いてきて、
「おい、この後どうする?俺はやりたい事っていうか見たい事があるんだが、お前はどうする?」
そんな事を聞いてくる。
これは、帰るのか、それともついてくるか決めろって事でしょうか。
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