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「こっちに気付いたな」
「何も防ぐ素振りが無かった」
「大方宝具とやらの能力だろうな。ま、気付かれたならいつまでもここにいる意味がねえ。行くぞ」
スキマを開き、ターゲットの前に移動する。言わずもがなレイは足元に開いて落としたのだが、特に叫び声も上げず、挙句に普通に着地しやがった。
「どーもー」
「ギルド『神の祈り』所属、Zランク破壊の救世主だ」
「......」
俺とレイが突然目の前に現れて挨拶をしても、特に驚くこと無く視線をこちらに向けるターゲット。
「さてと、あんたがアスラートの城から宝具を持ち出した犯罪者であってるかなー?」
「答えてくれ」
俺とレイは率直に問いかける。目の前の人物は、
「......退いて。貴方達を、殺したくない」
感情が篭ってない、無機質な可愛らしい声で俺たちにそう忠告した。
「質問の答えになってないぜ」
「......多分、私は貴方達の言う犯罪者」
多分ってなんだよ、多分って。
「なら、僕達の仕事は君を捕縛してその宝具を回収することだ」
「抵抗するなら抹殺も可だな」
「......それは出来ない。所詮貴方達も、自分の国の全てを知らない」
ふむふむ、こいつが言ってるのは国の"裏側"だろうな。
「ま、お前に何があって犯罪者になったか知らねえが、抵抗する気なら」
「ちょっと待って」
「あん?」
まぁ理由は何となく分かるが、レイに途中で遮られた。
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