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溜まっていたものがある程度吐き出されたのか、槍はそのままで涙目でハァハァと息を切らしながら土煙で見えないレイの方を見つめる女。
土煙が晴れる。
「......!」
そこには、避けずに槍の棒の所を腕で受け止めているレイがいた。
おーおー、よくやるねぇ。あんなん受け止めれてもめっちゃ痛いのにな。
「......辛いよね」
不意に、槍を受け止めて固まっていたレイが口を開いた。
「っ!」
女はそれに驚いて槍を元の長さに戻した。
「僕もね、昔に友達だった大切な人が死んだんだ」
ほぉ、きっとギルドに拾われてからの話か。なら俺は知らんな。
「そりゃあ悲しかったよ。一緒に僕も死のうとか思ったよ」
「や、やめろ......!」
「でもね、僕には一緒に悲しんでくれる人もいたんだ」
レイは剣を消し、無防備で女に一歩一歩近寄っていく。
「きっと、その時君には側にそんな人がいなかったんだよね」
こりゃきっと『僕が一緒に君の悲しみを背負おう(キリッ』とか言うパターンだな。
「うるさい!黙れぇぇぇぇぇぇ!」
女は激昂して、槍を正面に構え無防備なレイに突進した。
レイは両手を広げ、避ける素振りを見せない。
そして、
「ッ......、それなら、僕が君の悲しみを一緒に背負おう。僕は絶対に君を裏切ったりしないから」
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