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「......宝具の引き渡しと同時にアスラートから報酬が貰えるから、今は渡せないわ」
「そ。なら俺も帰るか」
俺はイルミナさんに背を向け、扉に向かって歩き出す。
「......待って」
だが、扉の一歩手前で引きとめられた。
「なんですか?」
背を向けたまま返事をする。
「貴方は......苦しくないの?犯罪者とはいえ、人を殺して。まだ、16歳でしょ?」
「......」
イルミナさんの問いかけに、俺は顔だけ振り向き、子供が悪戯の準備を終えた後のようにニヤリと笑って、部屋を出ていく。
そしてゲートで寮の部屋まで移動する。
「よぉ、レミィ」
「キャゥ?」
「お前はいつになったら進化やら成長するんだろうな」
「キャゥ」
リビングでゴロゴロしていたレミィを捕まえ、そんな事を聞くと、知らん、といった感じで手からすり抜けて再びゴロゴロしだすレミィ。
文字通りリビングの床をゴロゴロ転がっているのだが、何がしたいのかよく分からん。
「......ククク」
不意に、さっきの出来事の収穫を思い出し、笑ってしまった。
「さてと、今日はゲームをやる気分じゃねえなぁ。寝るか」
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