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◇
「取引だ。方法を教えてやる。代わりにこの宝具に宿る全ての能力を教えろ」
「宝具の......能力?そんなものを知って、なにが」
「それはお前が決める事じゃない。別に断っていいぜ?その代わり、俺は依頼を遂行するだけだがな」
ここで断るなんてのは唯のアホだろう。自分を裏切った国の宝具の能力という機密をわざわざ守る必要はないからな。それにこの状況のままだと女を庇っているレイまで犯罪者になるからな。
俺が意地悪くそう言うと、女は致し方ないといった感じに喋りだした。
「その宝具の能力は伸縮自在に、持つ者の周りに視認不可の障壁を張ること」
それは見たから分かるが、それだけじゃねえよなぁ?
「そして、感情によって能力が変化する」
感情の変化にか。それはまた面白そうな能力だな。槍が一部黒くなっていたのはそのせいか?
「私はまだ持ってそこまで時間が経っていなかったから感情による能力は使えなかった。けど、もし使えていたら、多分負の能力が使えてたと思う」
負。妬み嫉妬悲哀憎しみ、そこらへんか。さっきの女の状態に当てはまるな。
「負の能力は、喰鬼。相手の魔力を喰らい、さらに宝具の能力を強化していく」
それはなかなか。
「そしてもう一つ、正の能力。詠唱の補助。魔法の詠唱を最上級までなら全て詠唱無しで撃てるようになる。究極級も半分くらいに出来る」
シンプルだが強いな。だが、感情によって変化する能力。重複は出来ないだろう。
「それで全てか?」
「そう。でも、能力を知って何になる?どうせ、宝具はアスラートに返還するんでしょう?」
そう、女の言う通りなのだが......
「ククク......知らなくていいことだ。じゃ、約束通り方法を教えてやろう」
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