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「ほんと、先生はその童顔が勿体無いですね」
「......どういう意味かしら?」
「さぁ?」
俺はわざとわしくニヤリと笑ってそう返し、空間魔法の【ゲート】を使って移動する。
訓練室に移動した俺が最初に見たのは、人型の人間か魔物か分からないでかい生き物が、何かの生物の鱗のような物に覆われた腕を、何故かボロボロで満身創痍なカエデに振り下ろそうとしているところだった。
一目見てもカエデは後は振り下ろされるのを待つだけしか出来そうにないので、ゲートでカエデの前に移動。そして、振り下ろされる腕を受け止める。
「何やってんだ、カエデ?」
「おま、え......」
カエデは俺を見て声を振り絞って何か喋ろうとするが、その前に俺が受け止めている腕の生き物が言葉なのか叫びなのか分からない声をあげる。
「ヴぁ......がっぁぁあ......!」
でかい生き物は反対の空いている腕で俺とカエデを薙ぎ払うように振り回してくる。
「ったく......【蟻地獄】」
俺は受け止めている腕を振り払い、カエデを抱えてゲートでその場を去る。その前にでかい生き物の動きを封じておくため、片足をトンっと地面に鳴らし、土魔法で地面を蟻地獄のようにしておく。
実際こんな身動きを封じる事もなくすぐに殺せるのだが、状況も分からないし、殺すなら情報を得てからの方がいいので、こうした。
移動したのは、生徒が壁際の一箇所に集まっている場所より少し離れた所にルナがいたので、そこに移動した。
「ライ......さん......?」
「また面倒臭い事になってんな、おい」
某然とするルナを無視し、カエデを下ろして壁に寄りかけさせる。
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